現物スキャンの展示室。文字資料の断片は検索室の端末から。

最終回の告知が残る唯一の紙面。「そらいろ郵便局 (終) さいごのおてがみ」——だが当日この枠は静止画の「おわび」に差し替えられた。
『そらいろ郵便局』 第五三回
「さいごのおてがみ」 決定稿 —— 第4稿
(手書き) 3/26 全直し 春日野
(手書き・別筆跡) トヤマくん、例のもの、まにあわせてくれて ありがとう
通常、この番組の台本は第2稿まで。第4稿はこの回だけ。
きって五十音・原案メモ(番組準備稿より)。ほとんどのページは水濡れで判読不能。読めるのは、この一枚だけ。
| わく | よみ | そのれい |
|---|---|---|
| はた | ら行 | |
| ことり | わ・ん・を | |
| なかみ | よみ | そのれい |
| はな | え段 |
欄外(手書き): 「ことりのわく」は らいしゅう、あの子の名前と いっしょに はっぴょう。……この欄外メモは、強い筆圧で二重線が引かれている。
当館のきってずかんの欠け(ら行・わ行・え段)と、ちょうど互いちがいに残っている。
コスモス花店 領収書
品目: こまどりの羽色のリボン、花束一
宛名: 戸山様
(裏面・鉛筆) 面会時間に間に合うように
なぜ番組資料にまぎれて花屋の領収書が保存されているのかは、わかっていない。
クレジットに残る5人の氏名に、役職と「1996年3月28日(最終回収録日)の夜の行動」を対応づける照合作業です。根拠資料は検索室の断片(業務日誌・回想記事・局内メモ)にあります。3件そろって正しいときだけ、綴じ紐が鳴ります。
——あの夜が、組み上がった。
1996年3月28日。台本は前々日に一晩で書き直され、操演の三上は誰もいないスタジオでリハを続け、御手洗は楽屋の電話の前から動かず、大場は放送を「見送り」にするため編成に頭を下げ、そしてAD戸山は病院とスタジオを三往復して、花と、書き直された「手紙」を届けた。
収録は、行われた。カメラは回った。放送だけが、なかった。……そしてこの資料館の管理人は「局員T」。名簿の中で、Tの姓はひとりだけ。